カンジダ膣炎というのは、感染症のなかでも比較的ポピュラーな病気です。
すべての女性のうち、5人に1人くらいはこの病気にかかったことがあるとされています。
また、この病気はいわゆる性病とは異なる病気です。
カンジダ膣炎は、もともと人の身体のなかに棲んでいる真菌類が増殖することによって引き起こされる病気になります。
この病気にかかった場合には、強いかゆみを感じたり、おりものの状態や量が変化するなど、膣内やその周辺部に症状が現れます。

カンジダのってカビなの?

カンジダ膣炎は、カンジダという真菌類の一種が女性の膣内に繁殖することによって発症する病気です。
病気に詳しい人であれば、この病原体がカビの仲間であるという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
では、実際のところカンジダというのは本当にカビの仲間なのでしょうか。

結論から言うと、カンジダは真菌類のなかでも酵母菌にふくまれる細菌で、カビの一種になります。
カビというのは、繁殖するときに菌糸を伸ばすことで増えていくタイプの細菌類のことです。
そのため、この細菌も増殖するときには菌糸を伸ばしながら成長していくことになります。

カンジダというのは、人の皮膚や粘膜などに数多く存在している常在菌の一つになります。
人の皮膚の上にはもともとさまざまな細菌類が繁殖してコロニーを作っています。
これらの細菌類は常在菌と呼ばれ、身体の外から人にとって有害な細菌やウィルスなどが侵入してくるのを防ぐ役割も持っています。

しかし、免疫力が低下したり免疫機能のバランスが崩れたりすると、この常在菌のうちの一部が繁殖してしまい、身体に悪さをしてしまうのです。
カンジダ膣炎というのは、常在菌のうちのカンジダ・アルビカンスという名前のカビが、感染症を引き起こしている状態のことを言います。

このカビは、人の皮膚や消化管のほか、女性の膣粘膜のなかにも多く存在しています。
免疫機能が正常に保たれている間は、カンジダ・アルビカンスも悪さをすることはありません。
しかし、免疫機能が異常を起こしたり、免疫力が低下してしまった場合には、膣炎を始めとした感染症の症状を引き起こしてしまうことになります。
このように、もともと身体のなかに存在していたカビや細菌によって感染症にかかることを、日和見感染と言います。

カビの一種であるカンジダには、カンジダ・アルビカンスのほかにも数多くの菌種が存在しています。
そのうちのいくつかは、味噌や醤油の発酵や、ワインの醸造などにも関係しています。
こういったことからも、この病原菌がカビの仲間であるということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

たくさんあるカンジダのうち、感染症を引き起こすような病原性を持っているのはカンジダ・アルビカンスのみになります。
それでは、このカビは膣以外ではどのような場所に感染するのでしょうか。

カンジダ膣炎は膣にしか感染しない?

カンジダ膣炎というのは、常在菌であるカンジダによって女性の膣内に炎症が起きている状態のことです。
つまり、この病気にかかっている人では、膣内にカンジダが大量に繁殖しているということになります。
この細菌はもともと人の身体のなかに棲んでいる細菌なので、場合によってはほかの部位にも感染してしまう危険性があります。

例えば、膣内からの分泌物などが付いた手で身体を触ってしまうと、感染症がほかの部位にうつることがあります。
また、性的な接触をしたり、日用品などを介することで、パートナーや家族などにも感染してしまう可能性があるのです。

しかし、カンジダはもともと繁殖力のそれほど強い細菌ではありません。
そのため、抵抗力があまり落ちていない人がこの細菌に触れても、ただちに感染症を引き起こすことはありません。
ただし、口のなかや性器など、細菌にたいする抵抗力の弱い部分に触れてしまった場合には注意が必要です。

カンジダは、人の身体のなかでも皮膚や粘膜といった柔らかい部分を好んで繁殖します。
この細菌が感染する部位としては、女性も男性もほぼ共通しています。
性器や口のなかなどは感染しやすい部分です。
また、人によっては皮膚に感染することもあります。

男性と女性の症状の違い

女性の場合には、膣のほかには外陰部などが特に感染しやすい部位です。
膣口や陰唇・陰核亀頭のほか、まれに尿道などにも感染することがあります。
ただし、子宮や子宮頚管などに感染することはほとんどありません。
女性の場合、性器周辺の通気性がよくないため、この細菌に感染するリスクも高くなっています。

一方の男性の場合には、尿道や亀頭などに感染しやすくなっています。
とくに包茎の人では、そうでない人よりもこの細菌に感染する危険性が高いと言えます。
男性の場合、性器の周辺が外気に曝されていることが多いため、女性よりはこの菌に感染するリスクは低くなっています。

また、男性の場合も女性の場合も口のなかにカンジダが発症することがあります。
口のなかに感染したカンジダのことを、鵞口瘡と言うこともあります。
手の皮膚や手足の爪、指の間などにこの細菌が感染してしまう人もいます。
皮膚に感染症の症状が現れた場合には、皮膚カンジダ症と言います。

女性器や男性器に起きるカンジダのことを、まとめて性器カンジダ症と言います。
では、このうちのカンジダ膣炎については、具体的にはどのような症状が起きるのでしょうか。

カンジダ膣炎になるとどんな症状がおこる?

カンジダ膣炎にかかった場合には、外陰部にも症状が現れることがほとんどです。
そのため、2つの症状を合わせて外陰膣カンジダ症と言うこともあります。
カンジダの症状としては、かゆみやおりものの状態の変化などをあげることができます。
また、熱さや痛みなどを感じたり、排尿障害が起きることもあります。
しかし、人によってははっきりとした自覚症状が現れないケースもあるので注意するようにしてください。

このうち比較的多くの人で見られるのが、おりものの状態の変化です。
健康な状態の女性では、おりものは透明から白濁・黄色くらいの薄い粘液状になっています。
おりものの量や性状には個人差があります。
また、臭いも甘酸っぱさが感じられることがありますが、刺激臭というほどではありません。

しかし、カンジダ膣炎にかかった場合には、おりものの性状が濃く濁ったような状態に変化します。
色は白濁していることが多いですが、まれに黄色から黄緑色のおりものが出ることもあります。
おりものの臭いはないことがほとんどですが、鼻をつくようなつんとした臭いがすることもあります。
もし刺激臭が強いようであれば、炎症が悪化している危険性もあるので注意しなくてはいけません。

カンジダ膣炎の初期の段階では、少し粘り気のあるヨーグルトのようなおりものが見られます。
しかし、膣内での炎症が悪化してしまうと、しだいに白い固体のようなものになっていきます。
症状がさらに悪化した場合には、外陰部にも白く固まったおりものが張り付いてしまうことがあります。
もし、チーズのようにぽろぽろとしたおりものが出てくるようであれば、膣炎の症状が悪化している可能性があるため、注意するようにしてください。

そのほかの症状として多いのが、膣や外陰部などのかゆみです。
このかゆみはかなり強烈なもので、とくに膣口や陰唇、陰核亀頭などにかゆみが見られます。
とくに排尿後に膣付近がうずくようなかゆみが感じられる場合には、重症化している可能性もあるので注意が必要です。
人によっては、発疹や発赤などの症状が見られることもあります。

厄介なのが、ほとんど症状が現れない場合です。
ふつう、膣炎の症状が出ている場合にはおりものの色や臭い、性状などに変化が見られますが、こうした目立った変化がない人もいます。
この場合には、おりものの量の変化がこの病気に感染しているかどうかを見極めるポイントになります。
もし、普段よりもおりものの量が少し増えていると感じた場合には、カンジダ膣炎にかかっていることも疑ってみる必要があります。